とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
心地よい風にウキョウは目を閉じた。
コーディもそれを見て真似して目を閉じてみる。
『気持ちいいなぁ…』
『空を飛べたらこの風をいつも浴びれるんだろうな…』
懐かしそうにポツリと言うウキョウをコーディはチラッと横目で見た。
ウキョウって…格好いいなぁ…
ぼんやりそんな事を考えていたら急にウキョウが振り向いた。
『来たよ、コーディ。』
『え…えっ!?どこ!?』
ウキョウは太陽を指差した。
『あそこだ。見づらいけど…』
ウキョウに言われて目を細めながら太陽を見るが全く見えない。
『…分からないよ…』
コーディの呟きにウキョウはクスッと笑って口笛を吹いた。
ピュイイイィィィー…
ウキョウの口笛に反応してバージの鳴き声が聞こえた。
旋回するバージを見つけたかと思うと一気に高度を下げてウキョウの腕に舞い降りた。
コーディはその勢いに驚いて尻餅を着いた。
『び…ビックリした…』
『あはは…大丈夫か?』
差し出されたウキョウの腕を掴んで立ち上がるとバージは大きな翼を広げてコーディを牽制した。
『こら、バージ。駄目だよ、コーディは俺の友達なんだ。』
バージはウキョウを見てピュィと可愛く鳴いた。