とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
2日後、手詰まりに思えた調査が急展開する。
それは鑑識に居る友人からの電話だった。
『いい話と悪い話、どっちから聞きたい?』
現役時代と変わらない勿体つけた言い回しに少し笑いながら、『悪い話から聞こう』と答えた。
『弾丸はお前が言った通り、45口径だった。だが登録された警察のベースには一致しなかった。』
『血も付着してなかったか?』
『ああ、ないね。試し撃ちでもしたんじゃないか?』
あの弾丸は何か関係があると期待していただけに落胆はでかい。
『…いい話を聞かせてくれ…』
『あの弾丸だが、普通の弾じゃない。なんとビックリ、純銀製だ!』
『えっ?…純銀!?』
アンダーソンは受話器を持ったまま思わず立ち上がった。
『ついでにあんたが持って来た“灰”だが、あれから複数のDNAが出た。』
『ま…待ってくれ!じゃあ…あの灰は…』
『ああ、間違いなく“人骨”だ。』
─なんてこった…!
『おまけに!その人骨にコウモリのDNAまで混じってたぜ?お前、ドラキュラ伯爵の屋敷にでも行ったのか?』
ドラキュラ?吸血鬼?
…まさか、そんなおとぎ話みたいな事が本当にあると…?