とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『俺は警部じゃない…それより、お前もあの屋敷に入ったよな?』
『ええ。それが?』
『灰…灰があったろ?』
『あの床の砂の事ですか?ええ、ありましたねぇ…』
『あれ…人骨だった。』
『…はぁ?』
『だから!あの時持ち帰って鑑識のやつに調べて貰ったんだ!』
『…あの屋敷の近くに古い墓地がありましたから、それが風化して屋敷まで飛んで来たんじゃないですかぁ?』
ダンは『ナニ馬鹿な事を言ってるんだ』と言いたげにアンダーソンを見ていた。
『それだけじゃない!あの屋敷の地下で45口径の弾丸を見つけた。』
『…若者の溜まり場みたいですから、ふざけて撃ったとか?』
『純銀だぞ!?…銀弾をわざわざふざけて撃つか!?』
そう言うとダンは吹き出した。
『まさか警部!吸血鬼の館だったって言いたいんですか?…あははははは!』
お腹を抱えて笑うダンを彼は睨んだ。
涙目を指で拭いながら『失礼…』と咳払いをするとダンはアンダーソンに向き直った。
『あの屋敷をゴーストハウスだって噂もありますけど、見た人は誰も居ません。それにあの屋敷、もう捜査出来ませんよ?』
ダンの言葉にアンダーソンは首を傾げた。