とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『これなら問題なくDNAを検出出来る。ちょっと今仕事が溜まってるから後回しになるが…今日中には結果を知らせるよ。』
『ああ、報告書でも仕上げとくから事務所に電話くれ。』
いまいちやる気のないアンダーソンの肩を友人が軽く叩いた。
『事件性があると判断したら上に報告するからそう悄気るな!』
『…警察に居た頃は自分が動けたんだがなぁ…』
そう言ってアンダーソンは警察を後にした。
友人から報告が来たのは彼があと少しで報告書を書き終えるという頃だった。
『結論から言うと“シロ”だった。比較サンプルともデータベースとも一致しない。』
『そうか…事件性はありそうか?』
『あの人骨も調べ直したが、意外と古い物だった。この状況だとなんとも言えないな~…』
友人は『また何かあったら連絡くれ』と言って電話を切った。
─あの屋敷には絶対何かある。
だが、今の自分には何も出来ないのが悔しい。
やりきれない気持ちで真っ直ぐ家に帰る気になれず、足は自然とあの屋敷へと向かっていた。
大袈裟なくらい大きな門の外から館を見上げるとぼんやり灯りが見えた。