とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
本当は『行かないでよ』と言いたかったが、ウキョウの表情を見たらコーディは何も言えなくなってしまった。
『ウキョウは…その人に会いたいの?』
『会いたいよ…凄く』
『そっか…じゃあ俺も手伝う!』
コーディの言葉にウキョウは少し驚いた顔をしてから吹き出した。
『さすが兄弟だな!ユーリと同じ事言ってるよ。』
『兄ちゃんが!?』
『ああ。俺は恵まれてる。』
…そうだ、以前にもそう思った事があったな…
はっきりとした記憶ではないが、ぼんやりと思い出した。
ウキョウは目を閉じて記憶を呼び起こす様に夢の中に落ちて行った。
コーディは静かになったウキョウを見て寝てしまった事に気付いた。
自分も少し昼寝をしようと思った時、ウキョウが何か呟いた。
コーディはウキョウが起きてるのかと思ったが、どうやら寝ているらしかった。
「…ごめん…シノブ…」
それは聞いた事のない国の言葉だったが、ウキョウが泣いているのが判った。
意味は理解出来なかったが、ウキョウが苦しんでるのがわかった。
コーディは自分に何が出来るかを考えるのだった。