とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
◇◇◇◇◇◇◇◇
夜中にふと目が覚めた。
腕の重みにホッとして満たされる自分がおかしい。
─…そんなに俺寂しかったのかな…
忍の寝顔を見ながらそんな事を考える。
「…やばいなぁ…放したくない…」
また何日かしたら忍が日本に帰ってしまうかと思うとちょっと切なくなる。
抱き締める腕に知らずと力が入り、忍がちょっと身をよじった。
「あ…ごめん…起こした?」
「んー…今何時?」
「0時回ったとこ。…何か飲む?」
「うん…飲む…」
微睡みながら答える忍に「待ってて」と囁くとベットから抜け出した。
少し身体がだるい。
ちょっと張り切り過ぎたか…と反省しながら冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。
まだぼんやりしている忍に口移しで水を飲ませる。
隙間から溢れる雫に、再び沸き起こる不純な衝動。
「……忍…もっかいしよ?」
「えー…眠いよぉ…」
じゃれつく右京にくすぐったそうに忍がクスクス笑った。
『……いいですねぇ~恋人同士って…』
突如聞こえた呟きにフリーズして二人は顔を見合わせた。