とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ガバッと跳ね起きた右京は声の主を見てガックシと項垂れる。
『クドラク…』
『…ああ、私に気にせず続けて下さい。』
『無理言うな!!何しに来た!?』
怒鳴る右京を忍が半眼で睨む。
「…右京…あんたの周りってプライバシーないわけ!?」
「俺が聞きてーよ!!」
ニックがアメリカから帰国するのが明日、邪魔なバジリスクはシンディに預けていた右京は完全に油断していた。
─まだコイツが居たかぁ~!
右京の特大の溜め息にクドラクは首を傾げた。
『…もしかして、お邪魔ですか?』
『もしかしなくても邪魔だよ!とっとと消えてくれ!』
そう言うとクドラクは肩を竦めて姿を消した。
─下半身は萎えるし、忍は機嫌悪いし…
「…最悪だ…」
「今のは何なの!?」
「えーと…“蚊”?」
「…随分デカイ“蚊”なのね…」
「そうだね」としらばっくれる右京の顔面に忍の投げた枕がクリーンヒットする。
黙ってベットを出ていく忍を右京は慌てて追いかけた。
「説明する…!説明するから~!」
忍はチラッと右京を見てプイッと顔を背ける。
─あ…その仕草カワイイかも…
じゃなくて、まずいって!
右京の冗談に反応しない時は忍が完全にキレてる時だ。