とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
スタッフォードシャーはハンプシャー州にあたり、島の南岸に位置する。
朝一でアランにリッチフィールド家に行くとメールを打つとすぐに電話がかかってきた。
『確かクロウは二輪の免許を持っていたね?』
『ああ、この前帰国した時に国際免許に書き換えたよ。』
『そりゃ良かった。じゃあ、一時間後に八番街の貸倉庫に来てくれ。』
切れた携帯に首を傾げる右京を見て忍が「どうかした?」と声をかけた。
「アランが貸倉庫に来いって…」
「じゃあ、さっさと食べちゃって。誰だかさんが寝坊したせいで時間がないから…」
「…お前なぁ…誰のせいだと思ってんだよ…」
ランチに近い朝食を用意しながら忍は「さあね」と白々しく答えた。
右京はニヤリッと笑いながら「忍は最高だよ」と囁いた。
「しかも…まさかあんな事…」
「う・る・さ・い!」
忍はちょっと顔を赤らめて「早く食べなさい!」と右京の鼻を軽く摘まんだ。
「なんか新婚みたい。ちょっと照れる…」
「そお?いつも通りだけど…」
「…相変わらず冷めてるな…」
拗ねたように口を尖らせる右京に忍はクスッと笑った。