とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
─どれって…マジで!?
『これッ!…モンスターじゃね?』
『ああ、ドゥカティだね。スーパーバイクのレプリカだよ。…それでいいの?』
─それでって…
この痺れようなフォルムがたまらない。
威圧感たっぷりのそのデザインに右京は興奮気味に『乗ってみていいか?』と聞いた。
『もちろん。ヘルメットもその辺にあるのを使っていい。』
『限定解除しておいて良かった!』
右京が半泣きで喜ぶ様子を見てアランはキーを投げて寄越した。
『そんなに気に入ったんならこっちに居る間、乗ってればいい。』
あまりにも嬉しくて右京はその申し出を素直に受けた。
よく考えたら、あのアランが“ただ”でドゥカティを貸すワケないのだ。
とりあえずその時は上機嫌でアパートに戻り、忍を連れて乗り気じゃなかったリッチフィールド家までルンルンで向かう。
バイクの事は良く判らない忍は、右京がこのドゥカティの“モンスター”について熱く語るも反応は「ふーん」だけだった。
「わっかんねー?このエンジン音!」
「全くわからない。…ってか寧ろどーでもいいわ。」
「…ホント冷めてるな…」
頭の中が“ドゥカティ”の右京に対して、忍の頭の中は“石碑”らしいかった。