とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
忍はバックからデジカメを取り出すとキリスト像やらパイプオルガンやらにシャッターを切った。
「にしても流石にでかいな…」
「確かここってイングランド最大級の聖堂よね?」
右京はその大きさが他とは桁外れ過ぎて“無駄にデカイ”と感じた。
「ここまで立派な聖堂にする必要があったのかな…」
「それだけここが重要な役割だったのよ。」
忍は興味津々な様子で見学していたが、右京はそれほど関心が持てなかった。
それよりも、自分に腕を絡めて目を輝かせている忍を見ている方が何倍も楽しい。
「“ダ・ヴィンチコード”でもこの大聖堂は出てきたわよね~」
「あ~いかにもって感じする。…まぁ、ここには何もないと思うけどね。」
右京がそう言うと忍に「ロマンがない」と睨まれた。
「じゃあ、右京はどこに聖杯が…ううん、聖杯じゃなくてもいいんだけど聖遺物があると思う?」
「元天使の俺に聞いちゃうの?…人間は結構腹黒だからな~」
聖杯も元々は天界にあったものだ。
神が人間に与えたと言われているが、実際はただの天使の“落とし物”である。
それを彼方此方へと隠してしまったが為に天使達はいい迷惑をしている。