とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
そして淡々と業務をこなす。
変わらない、最近の日常。
だが全てモノクロの色がない世界。
「黒崎!新庄さんが呼んでるぞ!」
「はい!今行きます。」
最近ぼんやりする事があるからまたミスでもしたのかと考えながら新庄のデスクへ急ぐ。
新庄は忍の顔を見て「おはよう」と微笑んだ。
どうやら怒られる訳ではないらしい。
ホッとして「おはようございます」と返した。
「君は今中村の仕事を手伝っていたね?」
「はい。もうすぐ締め切りですので今日原稿を取りに行く予定です。」
「それ…鈴本に引き継いでくれるか?」
「え?…何かミスしましたか?…私…」
「うーん…君はミスしてないよ。」
含みのある言い方に言わずとも察しがついた。
「…ニコールですね…」
「最近黒崎の勘の良さには感心するよ…」
「あんまり誉めらてる気がしません。」
そう言うと新庄は笑った。
「取材に行きたいそうだ。詳しくは本人に連絡してみてくれ。」
そう言われて「はい」と返事をして自分のデスクに戻った。
時計に目をやると11時を少し過ぎた頃だった。
今かけたら真夜中だと考えて“起きたら連絡を”とメールを送った。