とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『…そう言い切るって事はある程度特定してるのか?』
アランにそう言ったのはずっと話を聞いていたクリスだった。
『候補だけどね。』
そう言ってアランはロイをチラッと見た。
それに気付いてロイは部屋のプロジェクターに地図を映し出した。
『まず、さっき言ったギリシャの“ペロポネソス半島”。
そして、ニコラ・プッサンが生涯の大半を過ごした“ローマ”。
最後にアルカディアが地名の語源とされているカナダの“アカディア”だ。』
『…聞いた事ない…カナダにあるの?』
『アカディアは旧称だよ。現在はノヴァ・スコシアだね。』
どうやらフランスの植民地だったらしい。
そしてアランは『本題に入ろう』とテーブルに肘を着いてメガネを押し上げた。
『この3ヶ所を調べてみたい。…何か見つかればラッキーくらいの確率だけど…』
『俺とアランは厳しくないか?まだ休みまで遠い。』
『だからシノブを呼んでもらったんだ。』
『なるほど…判りました。どこから行きますか?』
忍の凛とした口調に右京は嫌な予感がした。
目を少し耀かせてやる気をみなぎらせた彼女の顔は、正にジャーナリスト以外の何者でもない。