とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
一騎討ち
─カタカタカタ…
静かな室内にキーボードを叩く音が響く。
その音を聞きながら右京はソファーに寝転び、犯罪心理学の資料に目を走らせる。
─…退屈だ…。
忍は今頃ニックと観光客よろしくバシャバシャとカメラのシャッターを切っているだろう…。
クリスは数時間前に連絡があり、『これから山岳地帯に入る』と言っていた。
スピーカーから『右京に課題を早く終わらせろと伝えておけ』という声が聞こえたが、なんとなくムカついて無視してやった。
『おっ…ニックから通信…』
『スピーカーに出してくれ。』
ダンの指示に『あいよ』とやる気の感じられない口調でロイが答えた。
『アカディアに到着!これから現地を回ってみる。』
『了解』
『クロウは居るか?』
その言葉に資料から顔を少し上げた右京が『居ねぇよ!』と声を上げた。
『ククク…シノブは大はしゃぎだよ~彼女の事は俺が面倒みるから安心していいぞ~…じゃあ、シノブが呼んでるからまたな~』
『今行くよ、シノブ!』という要らない演出までして切れた通信に右京のイライラのボルテージが一気に上がる。
『~~~~~っのヤロウ…!!』
…そして彼のモベーションは一気に下がった。