とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




久しぶりに訪れた寮は何も替わっていなくて懐かしく感じた。




かつて自分の部屋でもあったアランの部屋の扉を開ける。




『入って。丁度本部から連絡が来たところだったんだよ。』




『何かあったのか?…てかルームメイトは?』




『隣人のせいでこの前ギブアップした。…それよりクリスから入電があったらしい。』




アランはラップトップPCを叩くと追跡システムの画面を表示させた。




ギリシャの地図上に赤い点が光っているが、それが何処なのかよく判らなかった。




『クリスはなんだって?』




『想定外の問題が発生したらしい。』




『何?シンディに色仕掛けで迫られたとか?』




『それは想定内だよ。…どうやら獣人に似たUMAに遭遇したらしい。』




UMA…未確認動物か。




『それが何だか判るのか?』




『クリスが言うには多分“ルー・ガルー”じゃないかって話だ。』




『ルー・ガルー?』




首を傾げる右京にアランは本棚から何やら怪しげな本を取り出すとペラペラ捲り始めた。




『“ルー・ガルー”はフランスで昔からよく聞く名だね。判りやすく言えば“ウェアウルフ”だ。』




『…狼男か。』




アランは『正解』と頷きながら開いたページを右京に見せた。




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