とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『後者の使い魔は吸血鬼…となると必然的に…』
『“バフォメット”って事か…』
『でもバフォメットの使い魔が狼人だとは…個人的に納得いかないのは俺だけか?』
『ぷっ…確かに!』
─山羊は山羊らしくしとけばいいものを…
『ニックとシノブは大丈夫かが気になるな…』
『あ~多分大丈夫だろ。』
忍には潤がついてる。
問題は自分達だ。
バジリスクの傷がある程度治ったとはいえ、また無理をされたら困る。
こんな事バジリスク本人が聞いたらまた不服そうな顔をするだろうなと考えて右京は溜め息をついた。
─どうして俺の周りは手のかかる女ばっかなんだか…
『やれるか?』
そうダンに言われ、『何が?』と答えると彼はちょっと眉を動かした。
『何がじゃなくて、バフォメットだよ!』
『あぁ、愚問だ。“やれるか”じゃなくて“やる”よ。』
ただバフォメットの事は何も判らなかった。
─虎太郎がいればなぁ…
なんてちょっと思って右京はブンブンて頭を振った。
─最近、人の手を当てにし過ぎてるな…
右京は『よし!』と気合いを入れると自分に言い聞かせた。
─これは試練かもしれない。右京、しくじるなよ?
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