とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
翌日大学の図書館でひたすら資料と格闘をする。
─ただでさえ早く仕上げて自分も戦線に参加したいのに…
右京は凝った肩をぐるりと回して少し伸びをした。
『あら…珍しくお勉強?』
そう声をかけられて振り返ると長い黒髪を束ねたジュリアが微笑んだ。
『ああ、ジュリア。そう、こんな真剣に勉強したのは久しぶりだよ。』
『ふふふ…じゃあ私もここでお勉強しようかしら』
そう言って右京の隣に座ると彼女もレポートを書き始めた。
右京はその横顔を眺めて忍を思い出す。
何故ジュリアを見て忍を思い出すんだろうと考えていると、彼女がチラッと右京を見た。
『…どうしたの?』
『ジュリアってさ…彼氏居るの?』
『えっ!?な…なによ、突然…ッ』
『あ…ごめん、聞いちゃまずかった?』
『いいこと、クロウ。レディには歳と男性の事は聞くもんじゃないのよ?』
『それはそれは…失礼しました~』
わざとらしく謝る右京にジュリアは可愛らしく笑った。
─ああ…仕草が似てるんだ…忍に…。