とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
“不安は絶対に顔に出さない”
それがアランのモットーだった。
故に微笑みはポーカーフェイスのひとつに過ぎない。
『クロウ。今回はターゲットに発信器を取り付けられればいい。深追いは禁物だよ?』
『わかってるって!』
『ならいい。オペレーターはいつも通りロイ、指揮は俺だ。』
皆が頷くのを確認してアランは『よし、行こうか!』と合図すると一斉に準備に取り掛かる。
─どうか問題が起きませんように…。
内心はそう願いながら…。
◇◇◇◇◇◇◇◇
右京はP2を出ると非常階段から屋上に上がる。
『ダンの傍受した内容から凡その場所を特定した。情報を送る。』
インカムからきこえて来るロイの声に耳を傾けながら日本刀を背負う。
腕に装着した端末を操作して本部から送らて来た地図を確認して『了解』と返事をした。
─北東に2kmってとこかな。
軽く助走をつけてビルからビルへと跳び移る。
─こういう時、翼がないと不便だな…
かといって今回は目立たないように行動しないとならない為、どちらにせよ翼は必要ないのだが…。