とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
陸橋に差し掛かったところで眼下に転がるように走る男を捕らえた。
明らかに何かから逃れるその様子に『居た!』と呟いた。
迷わず手すりに足を掛け飛び降りる。
『…ターゲット確認。』
のそのそと男を追う山羊のような角を生やした獣人…
─間違いない。アイツだ!
獣人が右京の気配に気付きピタリと動きを止めた。
ゆっくりと振り返った獣人に右京はニヤリッと笑った。
『よぉ。…お前バフォメットか?』
─グルルルルルルル…
低く唸る獣人に片眉を上げた。
『おいおい…喋れねぇってか?…低能だな…』
─グウアアアァァァァ!!
右京の言葉が気に入らなかったらしい。
吠えて牙を剥き出したバフォメットが右京を睨む。
『何が目的だ…?』
そんな問いかけに素直に答えるわけもなく、バフォメットが体勢を低くした。
─やる気か…上等だ!!
『クロウ、とりあえず発信器を!』
『オーケー』
トントンと爪先を軽く鳴らすと、右京はバフォメットに向かって疾走し出した。
素早く懐に入り込みバフォメットの顎を殴りつける。