とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




─…あれ?




ビクともしないバフォメットに右京が首を傾げた。




刹那、視界に入ったのはバフォメットの拳。




咄嗟に腕で防ぐが、その力に耐えきれず後ろに吹き飛ばされた。





─…ッ!マジかよ…




まともに食らったらひとたまりもない。




耳元から『おい大丈夫か!?』と繰り返すロイの声が聞こえる。




『予想以上だった。…ちょっと通信切るぞ。』




適当にあしらえる相手ではないらしい。




構える右京の足元から吹き荒れる風が全身を覆う。




『…来いよ、デカイの。俺を殴った事を後悔させてやる。』




翼がない今、おそらく生身の人間とほぼ同じダメージになる。




─なら、避けまくるしかねぇな…!




地を蹴って向かって来るバフォメットを避け、身を反転させながら腕をヤツの足に引っ掛ける。




掬い上げようとするがビクともしない。




─くっそ…!重ぇぇ…!




そのまま足を掴んで膝裏に蹴りを見舞う。




更によろけたバフォメットに足を絡ませ巨体を地面にねじ伏せた。




『よし!』と思ったのも束の間、なんなく起き上がると右京の首をバフォメットが掴んで逆に地面に押し付けた。




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