とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




投げられたそれが催涙弾だと気付くまでに時間がかかり、二人は思いっきりガスを吸い込んでその場にむせながらしゃがみ込んだ。




『くっそ!なんなんだ、いったい…!』




痛くて開かない目を押さえてのたうち回るカメラマンから右京はカメラを取り上げる。




『悪いな。これはマズイんだよ…』




そのまま転がる二人を無視してワゴン車の扉を開けた。




『わぉ…すげぇな…』




『関心してないでさっさとしろ。』




微かに苛立ちが見えるアランの声に『はいはい』と答えると、さっき奪ったカメラを無造作に投げ入れた。




『機器を破壊すればいいんだよな…?』




そう呟くと右京はワゴン車から少し離れて開け放たれた扉を振り返った。




右京は手でピストルを作って悪戯っぽくワゴン車に向かって構えた。




『…ばぁん…!』




右京が呟くとワゴン車が突然轟音とともに爆発…そして炎上。




『……………あっ…あれ?』




またしてもパイロキネシスのコントロールをミスったらしい。




右京は銀髪をポリポリと掻いて『ま、いっか』とのんきに呟いた。




─機器は破壊したし…。




そう言い聞かせて右京はインカムに『撤収する』と言うのだった。






   ◇◇◇◇◇◇◇◇



< 367 / 461 >

この作品をシェア

pagetop