とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ここ数年潤が忍の世話をするのが当たり前になっていた。
最初のうちはプライベートな空間に右京以外の人が居ることが嫌だった。
最近では執事の如く忍の身の回りの世話を焼く潤に甘えっぱなしだ。
人の適応力とは凄いと忍は思う。
ましてこんな格好でも平然と出来るまでになっているのだから。
「潤くーん…足の浮腫が取れないよ…」
「…だから何ですか?」
「解して欲しいな~なんて…」
そんな忍に潤は溜め息を着きながら「見せて下さい」と跪いた。
「…こんな所右京様には見せられませんよ…
さっきだってワタクシが電話に出たらあからさまに不機嫌な声でしたし…」
─この小言が無ければなぁ…
そんな自分勝手な事を考えながら携帯を手に取ると右京に電話をかける。
ワンコールも鳴り止まないうちに電話に出た右京に忍は笑った。
「出るの早っ!!」
「当たり前だろ~?忍の声が聞きたくてウズウズしてたんだから~」
そんな可愛い事を言う右京にちょっとキュンとなる。
「…ところでなんで潤が電話に出るわけ?」
「潤くんは右京の代わりに私を甘やかしてるのよ!」
「あの野郎…今度シバく…」
それは忍的にも困る。