とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
課題を提出し終え、教授の部屋を出てキャンパスを横切る。
途中見つけたベンチに腰を下ろして空を見上げた。
透き通る秋空に鳥達が気持ち良さそうに飛んでいく。
─ちょっとだけ…
自分に言い訳をしてベンチに横になると、被っていたロックハットで顔を覆う。
─ああ…平和だ…。
平和過ぎて眠気が増す。
更に少し冷たく感じる空気と、午後の暖かい日差しが容赦なく右京を夢へと引きずり込む。
どれくらい眠ってしまったのだろうか。
なんとなく人の気配を感じ微睡む。
『……ク…?…クロウ?』
『んー…?』
『やっぱりクロウだ。…そんな所で寝たら風邪ひくわよ?』
そう言われてぼんやり目を開けて自分を覗き込んだ人物を見て微笑む。
『大丈夫だよ、忍…』
が、すぐに忍はカナダに居ることを思い出し飛び起きた。
─ゴンッ!!
『ひゃぁ!?いっ…たぁ…』
右京も『いてて…』と呟いてから傍でうずくまる黒髪の彼女に手を伸ばした。
『ご…ごめん、ジュリア!!大丈夫か!?』
『大丈夫じゃないよ~!もう!マイク達の気持ちがよく解ったわぁ…』
頬を押さえて涙目になるジュリアにひたすら謝る。