とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『あ~痛かったぁ~…痣になったらどうしてくれるの~!?』
『マジでごめんって!見せて、どこ打った!?』
右京はジュリアの顔を自分の方に向かせて頬に手を添えた。
至近距離でバチッと目が合うとジュリアの頬がみるみる紅潮していく。
─あ…なんか…これってマズいか?
そう気付いて右京はすぐに手を引っ込めた。
『…多分大丈夫だと思うけど…後で冷やしてな?』
『え?…ああ、そうね…そうする。』
真っ赤な顔で俯いて黙るジュリアに右京は銀髪をガシガシと掻いて帽子を被った。
─きっ…気まずい!
『そういえば!夜マイクがバーで飲もうって言ってたけど聞いた?』
『あ、うんうん!私も友達連れて行くよ。クロウは?』
『行くよ。…明後日からちょっと出掛けないとだから長居はしないけど…』
『用意があるからね』と付け加えて平静を装う。
『そうなんだ』と相槌を打ったジュリアがいつも通りなのでホッとした。
他愛ない世間話をしてカフェテリアで別れると、右京は特大の溜め息を着いた。
『どうした、プレイボーイ!』
がしっとジェイに肩を掴まれ、右京はやる気のない視線を向けた。