とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ローマ
ローマはイタリアの首都であり、ヨーロッパ有数の世界都市でもある。
そして、イタリアでもミラノに次いで人口数が多い都市だ。
どこに行っても人…人…人。
しかも意外にアジア系の人種も目立つ。
─半分以上は観光客だろうな…
「はぁ…」
右京はこの人混みの中から忍を見つけ出せるか不安になって来た。
“分かりやすい所”と言ってこのスペイン広場を指定した忍には申し訳ないが多分失敗だ。
暫く大階段に腰を掛けて行き交う大衆の群れを眺める。
…と、デニムパンツのポケットでブルブルと携帯電話が震えた。
「右京どこに居るの~?」
…こっちが聞きたい。
「思うんだけどさ~…この人混みで見つけ出すのってかなり大変だと思うよ?」
「やる気ないわね…私に会いたいって言ってたじゃない!?」
「…忍もね~…。」
忍の「わかった!」と言うちょっとテンションの高い声が可愛い。
「右京、勝負よ!先に見つけたらランチおごってあげる。」
「…デザートは?」
「ティラミス!」
「よし、乗った!」
右京は電話を切って立ち上がると人混みに飛び込んだ。