とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
忍に似た背格好の女性を見つけては片っ端から顔を覗き込む。
また違った…
突然目の前に現れた銀髪のサングラスの男に皆驚いて警戒の色を見せる。
『sorry…』
もちろん外国人のフリをして誤魔化す。
─ん~…意外とこのナリも使えるな。
なんて思ったりして。
後ろ姿が忍に似た女性は無言でブンブンと首を横に振ったのを見て微笑んでやればいい。
─何処に居るんだか…
背後で「モデルさんかな…?」とか声が聞こえるがもちろんシカトだ。
ふと道の向こう側でショーウィンドウにかじりつく人物に気付いた。
ジェラートを食べながら背伸びをしたりちょっと屈んでみたり…
右京は「見つけた」と呟いて彼女からジェラートを取り上げた。
「あ~!!私のジェラート…」
「…ジェラートと俺、どっちが大事?」
忍はオーバーなくらいわざとらしく考え込む。
そしてたっぷり時間を掛けてから「ジェラート」と答えた。
「…わかった。じゃあジェラートが無ければいいんだ。」
そう言ってジェラートを食べ始めた右京に忍は「嘘です嘘です」と慌ててしがみつく。
右京はクスッと笑って「良かった」と呟くと忍を片手で引き寄せてキスをした。