とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ジェラートが溶けてしまうくらい長いキスに忍はちょっと右京の胸を押し返した。
「もう!早く返してよ~」
忍は笑いながら右京からジェラートを奪い返すとまた食べ始めた。
「…つか、お前探す気まったく無かったよな?」
「そんな事ないよ。右京見つける前にジェラート見つけちゃったから、これは食べないとでしょ?」
食べたら探そうと思った と嘯く忍の手を引いて“バルカッチャの噴水”に腰をかける。
「ローマって素敵な街ね~!」
「楽しそうだな。」
「どうせだから楽しまないと!」
「でしょ?」とちょっと首を傾げる忍に自然と笑みが溢れる。
「ノヴァ・スコシアはどうだった?」
「ん、あの街も素敵だった。かなり歩き回ったけど。アカディアってね…」
話し出した忍に右京は「待った」とストップを掛けた。
「その話は後にしよう。とりあえずデートしたい!」
そう言って忍の腕を引っ張ってローマの街を歩く。
忍はいつも以上にテンションが高く、気が付けば右京の腕を引っ張って歩いていた。
跳ねるように前を行く彼女の笑顔を見ているだけで楽しかった。