とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
忍は右京に“この聖堂あ~だ”とか“あの建物はこ~だ”とか一生懸命説明する。
右京はそれに対して“ふ~ん”と“へぇ~”を繰り返す。
案の定右京は「反応が薄い」と忍に怒られた。
「なんなの!?そんなにつまらない訳!?」
「いや、楽しいよ?凄く…」
「の割には話聞いてないよね?」
「だって、俺は忍が居れば何処でも楽しいし。」
サラッとそう言う右京に忍の頬が紅潮していく。
それを見て右京は忍をグイッと引き寄せて腰を抱いた。
「イギリスだろうが日本だろうが変わらない。
お前が居れば何処でも…。
俺のアルカディアは忍の隣だから…」
真っ赤になって動揺した忍に満足する。
─この表情がたまらない。
返答に困っている忍の顎を掴んでゆっくり顔を近付け…
至近距離で「愛してるよ」と囁くと恥ずかしそうに「馬鹿」と言う唇を奪う。
言葉とは裏腹に忍の唇が素直なのが嬉しい。
それとキスの後のほんのり甘い空気が好きだ。
再び忍にキスをした時、右京のデニムパンツのポケットで携帯が震えるた。
「…鳴ってるよ?」
「ん。今忙しいから…」
諦めたように切れたと思った携帯がまた鳴る。
それも無視していると今度は忍の携帯が鳴り出した。
「………」
「………」
誰がかけてきたのかが想像出来、二人は同時に溜め息を着いた。