とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
右京はやかましく鳴り続ける忍の携帯を取り上げ、乱暴に通話ボタンを押す。
『取り込み中。用件だけさっさと言え。』
不機嫌な右京に電話の向うでニックが笑っているのがわかる。
『そう怒るなって!クリスとシンディがさっきイタリアに着いた。夜、本部と通信を取りながら会議するぞ。』
『了解。じゃあな。』
まだ何か言っていたが無視して携帯を切る。
また直ぐに鳴り始めた携帯に苛立ちながら再度通話ボタンを押した。
『まだ用があるのかよ!』
『邪魔者扱いされると傷つくな~…』
『思いっきり邪魔だから仕方ねぇよ。』
『ところで今何処に居るの~?俺、独りでさみ……』
右京はイラッとして問答無用で電話を切る。
隣で忍は呆れたように溜め息を着いた。
「…しつこいわね…。」
「多分もう一回掛かってくるぜ?」
案の定また鳴った着信音に忍がブッと吹き出した。
『クロウ、酷いじゃないか~!』
『わかったよ…戻ればいいんだろ?』
『いや、そんな事言ってないんだけど…いいの~?じゃあ待ってるから!』
嬉しそうなニックの声に項垂れる右京を忍は笑いながらヨシヨシと撫でる。
「戻ろうか。…右京は私が居ればいいんでしょ?」
そう忍に言われて渋々頷くのだった。
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