とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




鈍感な忍はニックの真意を全く判ってないだろう。




「忍…ちょっとは警戒心を持ってくれよ…。」




そう呟く右京に彼女は眉を寄せる。




「何に対する警戒よ…」




「お前みたいなのを“無防備”っていうんだ!」




「はぁ?意味わかんない。私そこまで柔じゃないわよ?」




「とにかく!オオカミは意外と近くに居ることを忘れんなよ?」




忍は「あ~なるほど。」と理解したかのような表情をした。




「そうよね、アカディアには現れ無かったけど、ルー・ガルーがどこに潜んでるかわからないもんね!」




「…………そうだね。」




─なんにも判ってねぇ…




「そうじゃない」と忍に言おうかとも考えたが、彼女の仕事に今後支障を来しても困る。




「とにかく!隙は見せるなよ?」




「わかった!!」




妙に気合いの入ってる忍に余計不安が募る。




「愚痴も聞いて貰ったし、もう大丈夫!」




そう言って戻ろうとする忍は右京を振り返って手招きした。




その様子を見て右京も後を追って店内へと歩き出した。




「右京、ありがとう。」




自分に腕を絡めて少し恥ずかしそうに囁く忍の頭にキスを落とす。




「あんま心配させないでくれよ?」




忍はそれにニッコリと笑った。





   ◇◇◇◇◇◇◇◇




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