とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
PCから聞こえたアランの声に一同耳を澄ます。
『行動範囲が解った。』
PCにデータが送らて来たのに気付いてニックは画面を皆に向けた。
点滅する無数の赤い点を見てシンディが『こんなに!?』と驚く。
確かに発信器を取り付けてから1週間程しか経ってないのにポインターが多すぎる。
『最初無作為に移動してるのかと思ったんだ。
だが最近は範囲がヨーロッパに集中してる。』
それを見て右京は直感的に思った。
『…何かを探してる?』
『行く先々で狼人が居るって事は、奴等の狙いが自分達か…若しくは自分達と同じ目的か…』
『悪魔連中が俺達をそんな危険視してるとは考えにくい。』
ここはやはり“アルカディア”の聖遺物が狙いと見て間違いないだろう。
『って事は争奪戦になる。…先を越させるなよ?』
いつも以上に鋭さの増したアランの声に右京は『上等だ』と口角を上げた。
『だが、聖杯…その鍵かもしれないが、それがローマにあるとすると動き辛いな…』
ポツリと呟いたクリスにニックも同調する。
『何故?』と首を傾げる忍にクリスは重大な問題を口にした。
『ローマは唯一の聖地がある。…その勢力は絶対だ。』
『…“バチカン市国”…』
つまり、バチカンと悪魔の動向…その両方を視野に入れて行動しないとならないのだ。