とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




アランは“聖杯はバチカンが所有しているだろう”と推測していた。




理由はいくつかる。




まず、安易に入り込めない聖なる場所である事。




そして、“アルカディアの牧人たち”を描いた画家、ニコラ・プッサンが当時のローマ教皇とも繋がりがあったからだ。




バチカンは聖地と言うだけあって、悪魔は結界で容易に近付けないだろう。




『聖杯よりもまずは3つ目の鍵を探す方が優先だ。ニック、アカディアはどうだった?』




『アカディア人は昔イギリスに追いやられてるから口は重かったよ。』




そう言ってカナダ、ノヴァ・スコシアでの調査内容を話し出した。




『アカディアが消滅した経緯はみんな知ってるよね?』




『イギリスとフランスの間でその領有を巡って争った結果だよな?』




七年戦争の終盤でアカディア人は一人残らず村を強制移住になった。




その後、村はイギリス軍に焼き払われたらしい。




『なんでそうまでしてアカディアを奪い合ったのかがポイントなんだ。』




確かにその土地が両国に有利な立地だったのもあるが、それだけではないかもしれないとニックは考えた。




『そこでケイジャンに取材を試みたんだ。』




その言葉に忍が軽く咳払いをしてニックを睨むと『…シノブがね…』と付け加えた。





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