とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
銀髪のオッドアイ
村の外れにあるこの小高い丘が好きだ。
肌を撫でる風に心地良さを感じて目を閉じる。
ピュィィーー…ッ!!
頭上を旋回する鷲の甲高い鳴き声に気付いて立ち上がる。
口元に指を当ててピィー!と口笛を吹いた。
その合図に反応して鷲が高度を下げたのが解ると腕を出した。
バサバサと大きな翼を羽ばたかせてその鷲が腕に舞い降りた。
『おかえり、バージ』
バージは彼の肩に移動するとピュィと一声鳴いて頬に擦り寄る。
『今日は何処まで行って来たんだ?』
ヨシヨシと撫でながら鷲と会話する彼を誰かが『おーいっ』と呼んだ。
長く伸びた銀色の前髪をかきあげて坂道を走って来る少年に目を向けた。。
『どうした?コーディ。そんなに慌てて…』
『兄ちゃんがウキョウを呼んで来いって!』
『ユーリが?』
彼…ウキョウは何だろうと考える暇もなくコーディに腕を引っ張られた。
それに驚いて飛び上がってしまったバージをウキョウはすまなそうに見上げた。
そしてコーディと共に坂道を下っていくのだった。