とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
聖杯
皆がこれからのミッションの準備に追われる中、ほぼ生身の右京は椅子に跨がってクリスの武器を眺めていた。
何処にこれだけの武器を隠し持って居たのか謎である。
『…歩く武器庫だな…』
『最高の誉め言葉だ。』
そう言ってクリスはニヤリッと笑うと、バレッタに銀弾を装填した。
クリスが丁度予備の弾丸を詰め終わった時、不慣れなオペレータ作業を任されていたシンディが声を張り上げた。
『ちょ…ちょっと大変!ポインターが…!』
動揺した彼女の声に緊張が走る。
右京とクリスはインカムを素早く装着し『場所は!?』と訊ねながら窓を開けた。
『えっと…コロッセオ付近!…ってなにしてんの!?』
右京とクリスはそれを聞くと窓枠に足掛けて飛び降りた。
慌てて二階の窓辺から下を見下ろした時には既に二人の姿は無かった。
『あいつらなら大丈夫だろ…』
そう呟いたニックにシンディはただ唖然と闇夜を見ていた。
忍の『心配?』と言う声にハッして振り返る。
『右京も居るし大丈夫よ、きっと。』
敢えてクリスの名を出さなかったがシンディはちょっと恥ずかしそうに『そうね』と答えた。