とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
得体の知れない彼等を注意深く観察する。
無表情で何を考えているのか判らない。
雰囲気は至って落ち着いているが、威圧感のある3人だった。
『ここで何をしているんです?』
『……コロッセオの取材です……』
『取材…記者ですか?』
『ええ…貴方達は?』
『ある組織の者です。』
“組織”と言われて真っ先に“マフィア”を連想してしまったが、そうは見えない。
“マフィア”というより、もっと品があり“貴族”のような…。
ニックが忍に顔を近付け小声で囁く。
『もしかして“バチカン”の裏組織かもしれない…』
『えっ!?バ…バチカン!?』
言われてみれば聖職者の様に見える。
『昨晩、ここで銃声と叫び声を聞いたと報告がありましてね。』
『………』
この男達はどこまで知っているのか…?
『外で薬莢を見付けました。…それも凄い数のね。』
『ローマも物騒なんですね…』
『それがローマだけじゃないんですよ。先週ギリシャで同じような事がありました。…まぁそれは知り合いの仕業でしたが。』
『えっ!?知り合いだったの!?』
ついそう言ってしまってから、忍はすぐに“しまった”と思った。