とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




『…随分と自信がおありのようですね。我々の組織を知ってて言って居るのですか?』




『いえ。ですが“彼”を排除しようなど…貴殿方こそ“彼”を知ってて言っているのですか?』




無表情だった男が潤に不機嫌そうな顔をした。




相変わらず潤は微笑み、余裕すら感じる。




─“形勢逆転”…?




ニックは潤が居て良かったと内心ホッとしていた。




『ついでに言わせて頂きますが、貴殿方の組織とやらはたかが狼人ゴトキに何をやってるんです?』




『なっ…!?』




『あれだけ好き勝手に暴れさせておいて、“彼”を排除などふざけた事を言わないで頂きたい。』




『きっ…貴様!我々を愚弄するのは教皇を愚弄するのと同じ事だぞ!!』




『愚弄?…ふふふ…たかが人間のクセに厚かましい。』




潤の足元から黒い霧が噴き出す。




忍は慌てて潤に声を掛けたが『忍様は黙っていてください』と一喝された。




『身を弁えろ、愚かな人間共!!

我が主人を排除すると言うならば、今すぐ我が貴様らを灰にしてやる!』




ガタガタと震え出した男を見て忍は『駄目!!』と叫んで潤を押し留めた。




『駄目よ!そんな事右京は望んでない!!』




冷たい目をした悪魔が忍を睨む。




次第にその冷たさが消え、いつもの優しい瞳で忍を包んだ。




< 426 / 461 >

この作品をシェア

pagetop