とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
丁度右京が着替え終えると部屋の扉が開き上機嫌な忍が現れた。
「右京、ただいま~!」
─“ただいま”ぢゃねぇよ!
「忍。…そこ座れ。」
「ん?なに?」
キョトンとして首を傾げるその仕草が可愛くて思わず抱き締めたくなる。
─今俺は怒ってるんだ!
自分にそう言い聞かせ忍と向かい合うように座った。
「随分無茶したらしいな?」
「…してないよ?」
「思いっきり目が泳いでんじゃねぇか…」
「お…泳いでないって!」
「じゃあ聞くけど、“取引”ってなんだ?」
「えっ!?…なんで知ってんの!?」
「さっき潤から聞いた。」
忍は「黙っててくれればいいのに」とブツブツ愚痴を溢した。
「でもコロッセオの秘密を見付けたら聖杯はなんとかなるかもよ?」
「それが“取引”の条件か?」
「えっと…それがね?右京にお願いがあって…」
「…なに?」
足を組みあからさまに嫌そうな顔をする右京に、さすがの忍も躊躇う。