とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『あんたらバチカンの人間だって?』
『それは言えない決まりになってる。』
『“決まり”ねぇ…。組織ってヤツか。面倒くさいな。』
『だな。だから一人が楽なんだ。』
クリスと男がそんな会話をして笑う。
『昼間会った東洋人の女が“敵ではない”と言っていたが…』
『まぁ…今はまだ敵じゃないな。』
『“今は”?』
『なかなか言うことを聞かないモンスターを飼っててね…。』
そう言って男は自分の頭を指差した。
首を傾げたオラルにクリスが口を挟んだ。
『コイツは“ベルセルク”だ。』
『なっ…!?馬鹿な!』
『間違いない。俺はコイツの監視をしてる。』
手にしていたバレッタを男の頭に突き付けると、彼は両手を挙げておどけた。
『一回キレちゃうと制御出来ないんだ…その…昨日も…すまなかったな。』
男は『処理大変だったろ』と申し訳なさそうにそう言った。
『だが、多分右京じゃなかったら勝目は無かった。』
『“右京”?』
『あぁ、俺の名前。』
そういえば昼間の女も言ってたな…。
“そんな事右京は望んでない”と…
ということは本当にこの男があの“悪魔”の主人…。