とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
つまりクリスは“騎士修道会の敵う相手じゃない”と言いたいのか…?
『…随分と騎士修道会は卑下されたもんだな…』
『卑下はしてない。相手が悪過ぎるんだ。』
『…教えてくれ。彼は何者なんだ?』
『聞かない方がいいって言ったろ?』
『…じゃあ質問を変える。彼は“天使”か?それとも“悪魔”か?』
クリスとオラルの会話を聞いていた彼の部下もゴクリと唾を飲む。
『…さあな。…けど彼は“元熾天使”だと聞いた…』
『…!?…まさか…!』
オラルはクリスの言った通り“聞かなきゃ良かった”と後悔した。
─…もう逆らえない…。
これでも聖職者の端くれだ。
右京を敵に回すと言うことは、神に逆らう事と同じなのではないか?
…そう思えた。
『…オラルさん…ど…どうしましょう…』
狼狽える部下に答える事すら出来ない。
『…この事は誰にも言うな。』
『…い…言えませんよ!』
─くそっ…!なんて厄日なんだ!
オラルは深い溜め息をついた。
◇◇◇◇◇◇◇◇