とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
その翌週、数年ぶりにクリスがバチカンへとやって来た。
名目はハンター用の新しい武器の考案と、活動報告。
実際は偽の聖杯を持って来たのだが…。
その時オラルはクリスの仲間とやらの真の目的を聞いた。
それは人間が実行するにはあまりにも無謀といえる行為だった。
だが彼等なら何とかなるかもしれない。
右京という“天使の加護”があるのだから…。
それを聞いたクリスは珍しくゲラゲラと笑いながらこう言った。
『あれが天使だったら世も末だ。まぁ、悪魔ではないけどな。』
『それでも強力な助っ人には変わりないだろ?』
『勘違いするな。アイツらが助っ人なんじゃない。俺がアイツらの助っ人なんだ。』
─やれやれ…この男はプライドが高くて扱いづらいな。
だが最近また負の勢力が増して来ている。
クリスにはまだ頑張って貰わないとならない。
『提案があるんだが…君達に討伐依頼をお願いする事は可能なのだろうか…』
『さあね。そういうのは“アラン”に許可を取った方がいい。』
本当は右京をこちらの組織に引き抜きたいが、彼の仲間が譲らないだろう。