とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
「彼氏?」
「あ、谷地さんやっと起きた~!…そうそう、彼氏です。今日本に着いたって…」
「一時帰国でしょ?…なのに会えないとか最悪よね…」
「…もう諦めましたよ…」
そういうと谷地は「私も~!」とニカッと笑った。
「ムカつくから今日は思いっきり飲むわよ!」
「潰れないで下さいよ~?」
自棄になって“酔った勢いで…”なんて事になったらと思うと少し谷地が心配だ。
─大して谷地さんお酒強くないし…。
結局、忍達女性社員はコンパニオン代わりなんだろう。
そういう意味でも谷地が潰れたらこっちが大変だ。
暫くしてバスが旅館に到着すると、忍は少し気合いを入れて立ち上がるのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
忍と谷地は着いてすぐに温泉を堪能し、「これが社員旅行じゃなかったら…」なんて愚痴りながらのんびり過ごす。
「谷地さんの彼はガッカリしてませんでしたか?」
「“バックレちまえ”って言われたわ~」
と笑いながら話す谷地は意外とケロッとしている。
「一応忘年会とはいえ仕事の一貫って考えてるからバックレはしないけどね」
“仕事は仕事”としてキッチリこなす谷地はさすがだと思った。