とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
彼は目で“大丈夫?”と合図して来た。
忍は苦笑しながら頷くと、松山が隣を指差した。
ホッとして上司から逃げて松山の隣に座る。
「ありがとうございます。助かりました~」
「あの人、酔うとすぐ女の子に触るからね!」
「気を付けて」と言われ、忍は「はい」と微笑みながら答えた。
「黒崎さんは…クリスマスだから今日、参加しないと思ったよ。」
「ホント!なんで来ちゃったんだろ~って私も思います。」
「彼氏いるんでしょ?」
「はい。ほったらかしてるから今頃不貞腐れてるかも。」
そう口にしてしまって急に右京の事が心配になった。
彼の事だから、AXLEにでも飲みに行ってるかもしれない。
クリスマスに一人なんて言ったら、女の子達はチャンスとばかりに寄ってくるはずだ。
「心配?」
「えっ!?…まぁ、心配です。彼、モテますから…」
「ノロケかな~?」
「あっ…そんなつもりじゃないです!…でも私が言うのもオカシイんですけど、カッコイイんですよ…凄く…」
不安そうな顔をしてしまっていたのかもしれない。
松山は忍の手をキュッと握って優しく微笑んだ。
「彼氏が浮気したら、いつでも俺が慰めてあげるよ。」
そう言われてハッとした。