とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ぽかーんとしている松山と忍をさして気にせず、右京は忍の手にしていたグラスを取り上げてビールを煽る。
「おかわり。」
「あ…はい。…じゃなくて!!なんで居るの!?」
「ん?暇だったから来た。」
「暇だったからって…あんた馬鹿じゃないの!?」
右京は「まぁまぁ」とニッコリと忍に微笑んで忍が注いでくれたビールに口を付けた。
ジッと松山を見て「あんたが“松山先輩”?」と訊ねた。
「…え?」
「あれだろ?歓迎会で俺の忍を口説いた“松山先輩”だろ?」
挑戦的な右京にたじろぐ松山を見て忍は溜め息をついた。
「…ていうか、なんで右京が知ってんのよ!」
「手帖に書いてあった。」
「っ!?…見たの!?」
右京は「見ちゃった」と少し首を傾げて笑った。
─…可愛くて笑って誤魔化すつもり!?
「あんたムカつくけど、見る目あるよ。忍、いい女だろ~?…俺のだけど。」
「ああ…そうだね。」
何故か松山にビールを酌をしながら右京は「だろ~?」と当然のようにその場に居座る。
その光景に軽くパニックになる。
おろおろとする忍に気付いた谷地が「誰?」とこっそり聞いて来た。