とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
一頻り身体を動かし軽く上気した息を整えてると、泉に水を汲みに行く。
それが最近のウキョウの日課となっていた。
その後、皆で細やかな朝食を取ってユーリと一緒に馬車に乗り込み街へと向かう。
ユーリの仕事は村への物資を輸送する手伝いだった。
この村ではロバに馬車を引かせるのが普通で、馬を持っている家は少ない。
だからユーリへの仕事は意外と多く、毎日忙しいくらいだ。
ただ村自体が貧しく、仕事量に見合う程の賃金は貰えないのが現状である。
それでもユーリは嫌な顔ひとつせず仕事をこなす。
『働けるだけマシさ!』
そうユーリは言っていたが、ウキョウには単にお人好しとしか思えなかった。
『村の皆には良くして貰ってるし、贅沢しなければなんとか生活も出来る。だから特に不満もない』
そう言うユーリにウキョウは何も言えなかった。
『俺みたいな厄介者まで引き取って…ホントお前はバカだな~』
『ははは!言えてる!俺バカだな~』
道中そんな話をしながら舗装されていない細い山道を下る。
街に到着する頃にはさすがのウキョウも腰に痛みを感じた。