とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
いつもなら昼には積み込みが終わり、午後には村に着いているはずだった。
だがこの日は月曜日だった為荷物が多く、積み込みが完了した時にはとっくに昼は過ぎていた。
『たまには昼飯食べてくか!』
『ミーシャが家で用意してんじゃないのか?』
『これから街を出ても夕方近くになるじゃんか…俺を餓死させる気か?』
わざとらしく泣き真似をするユーリに溜め息をつくとウキョウは仕方なしに首を縦に振った。
ユーリは『安くて旨い店がある』と言って、街外れのバーへウキョウを連れて行く。
『…まさか今から飲むつもりじゃねーよな?』
酒の弱いユーリがまた潰れるんじゃないかと少し心配になる。
『安心しろって!昼間は普通に飯食えるんだよ。』
ユーリはここの料理がいかに旨いかを力説しながら空いてるテーブルに着いた。
『あら、ユーリじゃない!久しぶりね。…と、お友達も一緒?』
ウエイトレスの女の子が親しげにユーリに声をかけた。
『やぁ、ローズ!ここの旨い料理をコイツに食わせたくてね。』
『ふふ…いつものでいいかしら?』
そう言うとローズは厨房へと戻って行った。
その後ろ姿をしばらく眺めていたユーリはウキョウに顔を寄せた。