とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『…いいと思わないか?』
『何が?』
『ローズだよ!かわいいだろ!?』
『…目当てはそっちかよ…』
ユーリはウキョウが半眼で睨んでいるのにも気付かない程ローズにお熱らしい。
『まぁ…かわいいんじゃねーの?』
『なんだよ!反応薄いなぁー…』
『俺はそういうの良くわかんねー…』
『ウキョウのルックスなら恋人くらいいただろうな…』
『恋人か…あの子がそうかもな…』
ポツリと溢したウキョウの言葉にユーリは身を乗り出す。
『思い出したのか!?教えろよ!』
『思い出したって言うか…夢に出て来るんだよ。でも顔が思い出せない…』
『…最低だな…』
『仕方ねーだろ!?俺だってずっとモヤモヤしてんだよ!』
『それ本当に恋人なのか?』
そう言われてしまうと“yes”と断言出来ないのが悔しい。
『…恋人じゃなかったとしても…多分俺はあの子の事が好きなんだと思う。』
今朝の感覚も何度思い返してみても、そうとしか説明出来ない。
『…それは“今”のお前?それとも“前”のお前?』
『今も前も俺は俺。』
ウキョウがきっぱりとそう言うとユーリは『そうか』と安心したように微笑んだ。