とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ローズは『考えておくわ』と軽くウインクして去って行った。
その後ろ姿を見つめながらユーリは『いい眺めだ』と呟いてからウキョウに向き直る。
『…でだ。俺が思うに、ミーシャはまだお前を諦めちゃいない。』
『そうか?…そんな風には見えないけど…』
『これだから無自覚は困るんだ!
その気はないんだろ?なら少し突き放せ!』
ウキョウはパスタを頬張りながら、はいはいと適当に相槌を打った。
『アイツ、そのうち邪魔してくると思うぞ。』
『ミーシャが?…まさか!彼女はそんな子じゃ…』
『いーや!買い被るな!』
やけに力説するユーリに圧倒されながら、ウキョウはまたはいはいと適当に相槌を打った。
それからユーリは長々とミーシャがいかに腹黒いかを語っていたが、ウキョウは途中から聞いていなかった。
店を出て馬車に向かう途中もユーリは話し続ける。
『…子供の頃は親すら平然と騙すくらいでな?』
『騙すって…子供の戯言だろ?』
『いーや!そんなレベルじゃない!』
ちょっとウキョウが発言すると『いーや!違う!』と切り返され、話の終わりが見えない。
ウキョウが少しげんなりした時、前方の自分達の馬車の前に人影が見えた。