とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ホテルのボーイに教えてもらったと言うマリーナのレストランまで海岸沿いの街道をニコールと歩く。
少し湿った潮風を受けながらレストランのテラスで優雅な朝食を取った。
『なんだか雲行きが怪しいね…』
『…ですね…天気予報では午後傘マークでしたし…』
だがこの地方の天気は変わりやすく、予報も大して当てにならないらしい。
『内陸部は山だから尚更当てにならないよ。
意外と向こうはいい天気かもしれないよ?』
『だといいですね~。出来れば山の麓の街までは行きたいですし…』
サラダを突っつきながら忍がそう言うとニコールも頷いた。
『天気は良くないけど、暑くなりそうですね~』
『曇りで良かったかもね!』
ニコールのポジティブな思考に忍は小さく笑った。
『ニコールのそういう前向きな所、嫌いじゃないですよ?』
『おや、愛のこく…』
『違います。』
忍の鋭い切り返しにオーバーな仕草で肩をすくめるニコールに忍は吹き出した。
『景色は最高だし!目的地にも近付いてるし!後はそうやってシノブが笑って旅が出来たら言うこと無しだ!』
ニコールの言葉に忍は彼なりに自分を励ましてくれてるんだと気付いた。
とても判りづらいが…
忍は『努力します』と微笑んだ。