とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
この村は比較的標高の高い場所に位置していて主要の道も舗装されていない。
その為にこの辺りの村では車よりも未だに馬車が主流なのだとユーリは話していた。
『しっかしお前、本当に人間離れしてるよな!』
何気なく言ったユーリの一言にウキョウはドキッとした。
『そうかもな…』
実際のところ自分が何者なのかも解らない。
銀髪というだけでも珍しいのだが、一番ウキョウが普通の人間と違うのは瞳の色だ。
左右で瞳の色が明らかに違うオッドアイだった。
更に左目は深いグリーンアイで差して珍しくもないが、問題は紅い右目だ。
その瞳を見たユーリの妹のミーシャは最初怖がって近付かなかった。
だから今日の様に村人の前に出る時は、長く伸びた前髪でわざと右目を隠すようにしている。
ピュィと言うバージの声で我に返る。
心配そうに自分を見つめるバージに『大丈夫だよ…』と言ってまた荷物を担いだ。
『ウキョウはバージの言葉が解るの!?』
『いや、なんとなくだよ。』
コーディはふーんと言いながらバージを見つめる。
バージはそれに気付いているのか顔を背けて毛繕いをしていた。