とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
意識を取り戻したコーディは、いまいち状況を理解出来ていなかった。
ユーリは『無事ならいい』と少し泣いた。
そんな二人を見て右京は素直に素晴らしいと思った。
兄弟愛というのだろうか…
“絆”とはなんて素晴らしいんだろ…
自分にもこんな風に想ってくれる誰かが居たのだろうか…?
少し羨ましく思いながら『村に戻ろう』と言って店を出ようとした時、後ろから呼び止められた。
『よぉ、例の観光客はスコールのせいで隣街で足留めを喰らったらしいぜ。』
『あ…すっかり忘れてたよ。』
『明日にはこっちに来るらしいからよろしく頼むな!』
酒場の主人の言葉に軽く手を上げて応えると家路に着く。
馬車に揺られながら、コーディは躊躇いがちに口を開いた。
『…心配かけてごめんなさい…』
『もういいって!お前は謝る様な事、してないだろ?』
『そうだよ。コーディは友達を助けたんだろ?』
『えっ…何でウキョウ知ってんの!?』
『バージが言ってた。コーディはいい子だって。』
それを聞いたコーディは目を輝かせて『ホント!?』と身を乗り出した。
コーディの嬉しそうな顔を見て右京とユーリは顔を見合わせて笑った。