とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
◇◇◇◇◇◇◇◇
その嵐の激しさに忍は眠れなかった。
しばらく考えて忍は部屋の受話器を取ってニコールに内線をかけた。
『どうしたんだい?』
『…特に用事はないんですけど…』
その時ピカッと光ったカミナリに忍は思わず小さく悲鳴を上げた。
ニコールは一瞬間を空けたかと思うと、大きな声で笑い出した。
『そ…そんなに笑う事ないじゃないですか!!』
『あはははは!ごめんごめん…ついシノブが可愛らしくてッ…ククク…』
『もういいです!』
忍が叩き付けるように受話器を切った直後だった。
突然スタンドの灯りが消え、辺りは闇に包まれた。
忍は「ひぃッ!」と小さく悲鳴をあげてその場にしゃがみ込んだ。
心拍数が尋常じゃないくらい跳ね上がる。
数分後電力が戻ってスタンドの灯りが付くと同時に、入口の扉をドンドンと叩く音に再び「ひぃッ!」と悲鳴を上げた。
『シノブ~?大丈夫かい?』
ニコールの声にホッと胸を撫で下ろしたが、次第に脅かされた事に腹が立って来る。
ムッとした表情のまま扉を開ける。
『…何を怒っているんだ?』
『…いえ、怒ってませんよ…』
思いっきり怒った顔でそう言うとニコールは肩をすくめた。